フォーカスを絞る時代

亡くなった親父が晩年に「これ買うておいた」って買ってくれていた本の一つで、「フォーカス」という本があります。親父は大阪商工会議所で働いていて、ビジネスコンサルタント的な仕事をしていました。学ぶということに関しては貪欲で、本なんか読みたくってましたね。その人が薦めてくれた本です。

英語を訳したものなのですが、非常に面白いです。企業というのは大きくなるたびに、色々な分野、違う業種にまで手を伸ばす傾向があります。たとえば、ペプシはペプシコーラ以外にもレストラン業などにも手を伸ばしています。

しかし、このように多角経営をするようになった企業というのは、「売上(sales)は上がるのだけれども、純利益(net profit)はフォーカスしている会社に劣っている」という事で、1つのことに秀でていることがどれだけ大切かということをこの本は示唆しています。

もちろん、多角経営をしたからといって、純利益がフォーカスしている会社に常に負けているわけではありませんが、違う業種に手を出すとことごとく失敗している会社が多いようです。自分の得意な分野一つを徹底的に追求することで利益を上げる。これを強調している本です。逆に言えば、「フォーカスしている会社が成功しているよ」と教えてくれています。

また、私はアメリカに住んでいるので英語版を買いました。まず、驚いたこと。この訳が非常に英語に忠実だったこと。しかも、訳が非常に滑らかで分かりやすいということです。これだけ英語の文章を完璧に日本語に訳せるってすごいなと思いました。私も現在翻訳を生業にしてますが、今までに出会った翻訳の文章で一番です。

ちなみに翻訳者のお名前は川上純子さんで、SoftBank Creativeの文芸書籍編集部の編集長をされているということです。編集長川上のつぶやき

英語版は残念ながら日本のAmazonでは新品では売っていないようですが、参考までに。

本自体2005年に出版されているのですが、現在でも非常に通じるところがあります。ビジネスを大きな目で見るためにもちょっと目を通しておくと良いかもしれません。

いや、本当にすばらしい訳です。

これは会社だけではなく、個人にも当てはまると思ってここで取り上げてみました。フォーカスを絞ることができなければ、何事も中途半端になる。当たり前のことですが、多角経営やプロダクトラインを増やすなどして、利益を減らしている現状があるところを見れば、なかなか当たり前ではないようです。

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